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Vol.3 『インストール』

Vol.3 『インストール』_b0056743_865312.jpg文藝賞と芥川賞を史上最年少で受賞した美少女作家の綿矢りさ。歴史的な快挙を成し遂げた彼女は一躍文壇のアイドルに踊り出ることになる。本作品は彼女のデビュー作品。このデビュー作で文藝賞を受賞するという栄光を勝ち取った。また、その『インストール』は映画化されるなどまさにいまが旬真っ盛り。ただ、周囲が異様に加熱するばかりで作家としての実力はまだまだ未熟で発展途上段階にある。村上龍のようにデビュー作が映画化されるなど、社会的影響を与えた点で類似する。が、彼女の場合は出版業界の救世主あるいはジャンヌダルクのように一時的に祭り上げられた感がどうしても否めない。今後、その風評を弾き飛ばす意欲作がでることに期待したい。

[コメント]
今の若者目線で書き上げられた本作は同世代・同じような世代の子供を持つ親から共感を得るかもしれない。しかし、それは共感であって深い感銘は受けない。つまり、これを読んで得た感動を誰かに語りたくなるような思いに駆り立てられない。メッセージ性が弱いということだろうか。ただ刻々と平穏の中で物語が展開していくだけで実に味気ない。感情移入もできない。物語の中に読者を引き込まない。まるで、目の前にあるのだが手を伸ばしても触れられないかのようだ。それは著者と読者の融合がはかれないということ。著者が思いつくのままに一方的に発信し続けた一方通行の作品になっていると感じた。

by wine-lover | 2005-10-29 07:37 | 目指せ100冊読破!